2019_Museo dell’Opera del Duomo

《私の音楽は美術作品を奏でさせる – My music has sing the art -》

田中麻里奈、日本人の芸術家、ドゥオモ美術館(Museo dell’Opera del Duomo)にサウンドトラック制作・導入

ドゥオモ美術館で2週間ほど前から、ピサの中世の彫刻を「奏でさせる」日本人女性。ドゥオモ美術館は10月18日、600万ユーロの投資と5年という長い修復期間を経て、新たに門戸を開きました。彼女の名前は田中麻里奈です。この34歳の女性は、小さな奇跡を起こすため、太陽の昇る国からイタリアにやって来ました。この奇跡とは、美術館という、せいぜいカメラのシャッター音が聞こえる程度の、来場者の静寂が支配する場所に、音楽を導入したことです。

《音楽は常に私の情熱でした – 彼女はこう話します – 2歳からクラシック音楽を、8歳から作曲をはじめました。音は、目で見ることのできないものを美的に効果的な方法で表現できるものだと思います》。まさにサウンドを用いた芸術への探究心が、東京藝術大学で学びの後、彼女をイタリア、ボローニャに連れて行きます。エミリア州の州都、DAMS(ボローニャ大学芸術学科舞台芸術専攻)で、音のドラマトゥルギーに関する論文を執筆し修了、2016年の終わりからピサに移りました。ピサでは、サンターナ大学院大学(Scuola Superiore Sant’Anna)にてコラボレーションを開始し、この名門研究所へその名前を与えた教会でサウンドインスタレーションを制作しました。
改装された美術館の3つの展示室へ、没入空間の構築:聖ラニエーリの扉の展示室(※写真)、イスラム美術の展示室、十字架を収容する展示室。彼女のすべてのサウンド作品は、見えるものを描写するのではなく、美術作品の主題を補完し、それと融合します。たとえば、巨大なブロンズの扉の部屋では、男性と女性の声が聞こえます。扉の頂上にはイエスとマリアがいるからです。サウンドトラックの最後には、ボナンノ・ピサーノが伝えたかった昇天への憧れをかえす天使のような声が聴こえます。 2番目のイスラム美術の展示室の効果も印象的です。《この部屋では、イスラムの美術品がピサへ到来した場所、海の音から音楽をはじめたいと思いました。その後 – 彼女は続けます – サクソフォンの音によって、部屋の中央に展示されるグリフィンの神秘的な声と神話を表現しました》。最後の十字架の展示室では、美術史の研究を基に、この十字架とともに作られたと考えられる、他の失われた登場人物が、はしごを登り、釘を抜き、十字架からキリストの体を引き渡すシーンをサウンドによって再現しました。